Yokoの花便り

♪卯の花の匂う垣根に

2009.06.4

卯月とは4月の事、この頃に卯の花が咲くというので卯月と呼ばれたようです。
旧暦であることを考慮して今だと5月ですが、わが地方は日本の中心より
ちょっと北に位置するせいか今が満開です。
P1030322(1)
そしてビニールハウスのなかった時代、卯の花が咲き始め、
梅雨に差し掛かろうかという頃から田植えが始まったものです。
一家総出で子供ながらたろうじをさせられたものです。
(たろうじ~どんな字を書くものやら皆目想像も出来ません)
「卯の花のにおう垣根に 時鳥(ほととぎす)早もきなきて 
                    忍び音もらす 夏は来ぬ」

と、歌われた卯の花、わが地方においては垣根というより田の境界として
使われていたようです。今でもその名残として田の畦に点在しています。
卯の花と田は切り離せない関係にあるようです。
田植えを促す花で、田の神の依りしろでもあり、言霊を宿す花なんだそうです。
田の境界に植えてあるのは八重の卯の花でした。
八重があったなんて気付きませんでした。会社から見える場所なのに
近くの山林を調べましたが一重です。クリックして大画面で見て下さい。
P1030321(1)P1030323(1)
田の神の依りしろとして境界に使われたのか、はたまた近くの山林に
生えていて花がきれいだったからか定かではありませんが、
近辺の田は明治時代に開墾された場所で共墾社という地名です。
ところで卯の花のにおうとあるけれど・・・匂いませんよ!
この場合の「匂う」は万葉時代の表現で「色が美しく映える」という
視覚的な意味で、鼻で嗅ぐ匂いではないんだそうです。
作詞の佐々木信綱は万葉集の研究で知られた国文学者なので
「色が美しく映える」意味で「におう」と表現したようです。
私、匂いに敏感な性質で何でも嗅いでしまいます。
先生から教えてもらって初めて理解、なかなか奥深い歌なんです。
現代っ子はこの歌も卯の花も知らないんでしょうか?
一番だけしか知りませんでしたが5番まであったんですね
  1. 卯の花の におう垣根に、ほととぎす はやも来鳴きて、
                    忍び音 もらす、夏は来ぬ。
   
  2. さみだれの そそぐ山田に、早乙女が 裳裾ぬらして、
  玉苗 ううる、夏は来ぬ。
  3. 橘の かおる軒端に、窓ちかく 蛍とびかい、
                    おこたり諫むる、夏は来ぬ。
  4. 棟散る 川辺の宿の、門遠く 水鶏声して、夕月涼しき、夏は来ぬ。
  5. 夏は来ぬ 蛍とびかい、水鶏なき うつぎ花咲き、
    早苗植えわたす、 夏は来ぬ。